2010年3月4日木曜日

一般会計補正予算への反対討論

 今日、平成21年度一般会計補正予算についての採決が行われました。
 日本共産党を代表して、無駄な公共事業が入っている補正予算に反対討論を行いましたので、その要旨を紹介します。


私は日本共産党県議団を代表して、平成21年度一般会計補正予算(第4号)に反対する立場から討論を行います。

 今、世界的、全国的な経済危機のもとで沖縄県民の生活は特に深刻な事態になっています。
 失業率7・5%で全国の約倍で全国1の水準です。完全失業者は4万5千人にもぼっています。県民所得は全国平均の7割、年収200万以下のワーキングプアといわれる人々が就業者の50%になり、   貧困率も全国の15.7%をはるかに超える27%と推計されます。
国保税を払えない世帯も増えています。保険証のない人や、短期保険証の人が増え、病院に行けない人や通院を中断した人も増え、重症化する人も増加しています。
生活苦などによる自殺者も急増しています。
そして、親の経済状況の悪化と貧困化の進展が、子どもの貧困へとつながりより深刻な事態になっています。給食費を払えない子どもが増え、食事は学校の給食だけという子どもも増えているなどの報道も衝撃を与えています。
 こういう状況のもとで、今、県が重点を置いて推進しなければならないのは、無駄な公共事業や、環境破壊の公共事業をやめて、県民のくらし、福祉、医療、教育を応援し、中小業者、農漁民などの営業を手厚く支援することであります。

今回の補正予算第4号の中身は、国の緊急経済対策に対応した予算措置も入っています。職を失い住む家も失った人々への支援や、就労支援のための緊急雇用や緊急経済対策なども含まれています。これらの緊急対策は日本共産党もこれまで求めてきたものだけに当然賛成の立場です。

しかしながら、今度の補正予算の中には、これからの沖縄県の県政運営上の問題や、沖縄県の財政について決して見過ごすことのできない重要な予算が入っています。
 
それは、「特別自由貿易地域内賃貸工場用地等の購入に要する経費」として、1億6千1百5万5千円が計上されていることです。その額は全体の補正予算の156億円からするとわずか1%余だからといって見過ごすことはできないもので、これからの沖縄県の財政を圧迫し悪化させ、県民のくらしや福祉、教育、医療などの予算を圧迫することになるのだからです。

今回の、1億6千1百円余の予算は、特別自由貿易内の埋立用地を、県が一般会計予算で、買い取りを行うための予算計上となっています。

なぜ、この土地を買わなければならないのか。
これまで、県議会での質疑でも明らかなように、特別自由貿易地域として、埋立を行い、民間の企業に用地を売却し、企業を誘致するという鳴り物入りで進められてきた事業でした。
ところが、土地はほとんど売れない。当局の説明でも、土地の分譲として売れたのはたったの2.1%ということでした。
土地を売ろうとしても売れない、県はそこで、県自らが賃貸工場を建設したり、特別自由貿易地域への立地条件とは全く関係のないIT津梁パークなどを建設し、あるいは誘致なそしてきました。されでもたりずに、窮余の策として、県の一般会計予算でその土地の購入を進めてきました。
つまり、土地を売ろうにも売れないので、県自らが買うはめになってしまったというのが実態です。
これまでに、民間に売れたのは2.1%なのに対して、県自ら用地を購入したのは実に6倍余の13%にも上っているのです。今回の、土地購入で、その割合は13.7%になります。
これまでの、一般会計での土地の購入額は合計で27億4千万になります。
なぜ、こんなに毎年、土地を購入し続けなければならないのか。
なぜか。
この土地購入のこれまでの経過をみると、そのからくりがわかります。
それは、特別会計で埋立を行ってきた。そのための起債、つまり借金で埋め立ててきた。その起債の償還、つまり、借金の返還は、その埋め立てた土地を売って返していくというものです。
ですから、毎年、その特別会計は借金を返済するために、毎年の計画を立てて、土地を売る。売れ残ると、借金返済が出来ないから、しかたがないから、最終的には、毎年度最後の補正である2月補正で、売れ残った分を県が買い取るという仕組みになっていることがわかります。

この土地造成に要した起債をこれまで元金で352億円、利息で80億円をこれまで償還していますが、これからさらに17カ年間で元金、203億円、利息で30億年、償還しなければならなりません。
ということは、これから平成39年まで、後17年間、毎年、計画通り売れなければ毎年、県が一般会計予算で土地を購入し続けるということなのです。

このように、この埋立は事業は、わが党が一貫して指摘してきた、際限なく県民の税金をつぎ込んでいく、無駄な公共事業の典型になっています。
そして、その結果はどうなるのか。
県民のくらし、医療・福祉、教育の予算を圧迫することになっているのです。
こういう事態を、見逃していいのでしょうか。
委員会審議の中で、「当初の需要予測が間違っていたということではないか」との指摘に対して、部長も「当初の予測が十分でなかった」と認めました。
そして、新年度予算の説明の中で、本県の財政状況の悪化について、県も「埋立事業特別会計における土地売却の低迷等が大きな懸念材料」と述べざるを得ない状況になっています。

しかし、このように、県も財政悪化の原因、需要予測の不十分さを認めておきながら、その一方では、泡瀬干潟の埋め立て事業を、裁判所から「経済的合理性に欠けると」指摘されて、中止命令が出されたにも関わらず、いまだに推進するということに固執し続けていることをわが党は特に重視し問題にしているのです。
ここには、特別自由貿易地域の埋立事業の失敗から、これまでの公共事業の在り方を反省し、学び、何らかの教訓を導き出そうという姿勢は全く見られないということを指摘しなければなりません。

貴重な県民の税金を際限なくつぎ込むことになるこのような無駄な公共事業とはきっぱりと決別すべきです。

今回の1億6千万やこれまでつぎ込んできた27億4千万円の県民の税金を、くらしや福祉に回せば、どれだけ、県民の暮らしや福祉の増進につながったことでしょうか。
県立病院の医師、看護師確保などの医療の充実や、地域子育て支援センターや学童クラブなどへの補助、支援の拡充、こどもの医療費の拡充、介護への支援など、今、県民が切実に求めている、必要な県民のくらし、医療・福祉、教育にこの予算は回すべきです。
これから、あと17年間も一般会計からつぎ込んでくらしや福祉の予算を圧迫することは容認できません。

よって、「特別自由貿易地域内賃貸工場用地等の購入に要する経費」として、1億6千1百5万5千円が計上されている、平成21年度一般会計予算(第4号)に反対するものです。議員各位のご賛同をよろしくお願いします。

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