2009年11月26日木曜日

11月議会始まる/H20年度決算への反対討論

 今日から11月県議会ははじまりました。
 今日は、最初に平成20年度の決算特別委員会の委員長報告、討論、採択が行われました。
 日本共産党は、一般会計予算や泡瀬干潟の埋め立てなどの特別会計に反対しました。
 私は、一般会計決算への反対討論を行いました。
 以下がその討論の全文です。



 私は日本共産党県議団を代表して、平成21年第5回議会認定第1号「平成20年度一般会計決算の認定」に反対の立場から討論を行います。
一般会計は特別会計とも連動している部分もありますの、関連部分にも触れて討論を行います。

 今議題となっている平成20年度決算は、去年の4月1日から今年の3月31日までの沖縄県の一般会計の歳入歳出予算の執行状況について作成されたもので、この一年間の予算6,058億4,751万8,412円がどのように入ってきて、どのように使われたのかということをまとめたものです。
 この決算の審査は、予算の適正な執行がなされたか、その目的に沿った成果があがったのかなど、適否について審査することによって、次年度以降の予算の執行の重要な指針となるものです。
 ですから、決算について、地方自治法第233条は、会計年度終了後において作成され、監査委員の審査に付した後、議会の認定を経ることによって確定するものとされています。
 議会の決算審査について、地方財政辞典では、「議会は長から提出のあった決算書等について、住民の代表として、予算の執行が適切におこなわれたがどうか、収入が適正に確保されたか等について大局的見地からの審査をする必要がある。」として、「議会は、決算審査の結果、予算を正当に執行した決算として認定することが出来ないという結論にたっした場合は、当該決算の認定をしないことができる」としています。
 「大局的見地からの審査」とはなにか、収支の適否のみでなく、現在であれば、「無駄な公共事業になっていないか」「環境を破壊する事業になっていないか」「基地の整理縮小につながるのかどうか」、そして、「県民のくらし、福祉、医療、教育を応援する予算執行になっているか」等の、こういう視点での審査が議会には求められていると思います。

 そういう視点で平成20年度決算をみてみるとどうなるのでしょうか。

 今、県民の生活は深刻な事態です。
 失業率7・5%で全国の約倍で全国1の水準です。完全失業者は5万人にもぼっています。県民所得は全国平均の7割、年収200万以下のワーキングプアといわれる人々が就業者の50%になり、貧困率も全国の15.7%をはるかに超える27%と推計されます。
国保税を払えない世帯も増えています。
今年の沖縄県内の自殺者は、9月末で既に325人で、増加率は全国が3.1%なのに対して、沖縄が33.2と、全国平均の10倍と激増しています。
 全国の米軍専用施設の75%を押しつけられ、豊かな農地や産業基盤が奪われ、沖縄の経済発展の大きな阻害要因になっています。
復帰時から今日まで農業従事者は9万人も激減し、県内食糧自給率は30%、サトウキビを除くと6%という深刻な事態になっています。
 今、県が重点を置いて推進しなければならないのは、無駄な公共事業をやめ、環境破壊の公共事業をやめて、県民のくらし、福祉、医療、教育を応援し、中小業者、農漁民などの営業を手厚く支援することであります。

しかし、決算審査から見えてきたのは、県民のくらし応援の県政ではなく、いまだに、無駄な公共事業にしがみついているというこれまでの政治から脱却できていないということでした。
去年から、今年にかけて、司法での判決をはじめ、無駄な公共工事についての厳しい指摘などが相次ぎました。
 
まず、「無駄な公共事業、環境破壊の公共事業」と指摘され続けてきた泡瀬干潟の埋め立て工事は、住民から裁判に訴えられ、去年の10月15日に、那覇地方裁判所は、沖縄県に対して「経済的合理性がない」として、「公金の支出の差し止め」を命じました。
県は、この事件についての控訴について議会での議決を得るのは困難と判断したのか、詭弁を弄して議会に諮ることなく控訴を強行しました。
しかし、今年、11月19日の高裁判決は、一審判決同様に「経済的合理性に欠ける」と厳しく指摘し、「公金の支出の差し止め」が再び言いわたされました。
司法の場でも県の予算執行に厳しい判決が下されました。
県は上告を断念し判決が確定しました。
決算審査で、裁判所が「公金の支出差し止め」を言い渡した額について、いわゆるこれからの県の事業負担額ですが、その額は143億円ということが明らかになりました。
また、これまですでに県民の税金の35億円が投入されてきたことも明らかになりました。
 さらに、せめて一審判決から高裁判決までの間、あるいは判決が確定するまで、工事を中断すべきではないかという県民の声までも無視して工事を強行してきました。
その結果、去年の10月15日の一審判決後からのこの1年余の間に、県民の税金6億3千万が投入されるなど、無駄に無駄を重ねるという事態まで起こったことが明らかになりました。
貴重な泡瀬の干潟の一部がすでに無残にも埋め立てられています。一審判決を真摯に受け止めていれば、少なくとも6億3千万円もの無駄な予算の執行は止められたはずであり、貴重なサンゴの干潟を埋めることも防げたはずであります。
 県は厳しく反省すべきでありますが、残念ながら決算審査の過程で、県に反省の態度は見られませんでした。それどころか、不可解なことに、上告は断念したが、事業は継続するという開き直りの態度に終始しています。
 司法の判断や、県民の願いに背くものであることを厳しく指摘しなければなりません。

わが党をはじめ多くの県民からも「環境破壊の公共事業ではないか」と指摘されてきた、やんばるの林道建設事業でも、今年に入って大きな事件が起こりました。
 県は、この事業はどうして必要な事業として推進してきました。
国の環境省からも、同じ県の文化環境部からも、環境に重大な影響を及ぼすものであり、事業の廃止を含む再検討を求められていたことが発覚しました。それでも農林水産部はこの事業を強行し続けてきました。
 そして、先の議会では、その費用対効果を計算する便益計算書のデーターがない、あるいは、維持費などを計算に入れていなかったなどのデーターのねつ造が発覚し、ついに事業の中断を表明する事態になりました。
 地方財政法第3条は「地方公共団体は、法令の定めるところに従い、且つ、合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算に計上しなければならない」と定めています。
この法の趣旨に反し、予算の執行の根拠が全く成り立たないにも関わらず執行していたものであり、これは極めて重要な問題であります。
 なぜ、このような事態が起こったのか、なぜ、県の文化環境部や環境省からも事業の廃止を含めた検討が必要という意見が出ていたのにそれをあえて強行してきたのか、多くの県民からも環境破壊との指摘があったのに続行してきたのか、ここに、国の補助金を得たいがための、漫然と事業を推進してきた体質はなかったのか等を含めて厳しい反省と総括が求められています。
 審査の中で、県は、この事業の大本になっている北部森林計画の見直しについても、国と調整して見直しの検討を約束しましたが、やんばるの森にはすでに多くの林道が存在しています。
これ以上の環境破壊の林道建設はただちに中止すべきです。

特別自由貿易地域の過剰な需要予測によって、工業団地の建設を推進、売れない土地の造成を進め、過剰な工業用水確保のために財政を投入し、過剰な港湾の整備、航路浚渫とその土砂の捨て場としての泡瀬干潟の埋め立て事業など、無駄な公共事業の連鎖は、県の財政に大きな負担を強いるものになっています。
 決算審査でこの過剰な需要予測の指摘に対しても、反省し今後に生かしていくという姿勢はみられませんでした。

さらに、那覇港湾の整備についても、過大な需要予測でハブ港湾めざして、莫大な税金を投入して整備を進めてきましたが、トランシップ貨物は一つもない、ハブ港湾としてすでに破綻しているにも関わらず、整備計画を見直そうとしていないことも明らかになりました。
 
県立病院は県民の命と健康を守り、離島県の医療を守る砦として、県立病院として存続してほしいとの県民や県議会の願いに反し、独立行政法人化への動きが急ピッチで進められていることも見逃せません。

 県立浦添看護学校の民間移譲の動きも看過できません。

 以上、いくつかの特徴的な事例を述べてきましたが、これらの事例は、単に、個別の問題として見過ごすわけにはいかないもので、この決算には、現在の仲井真県政の、県民のくらしよりも、大企業本位の「無駄な公共事業」を優先する姿勢が端的に表れています。
 仲井真県政は、今こそ「無駄な公共事業、環境破壊の公共事業中心」から脱却し、県民のくらし、福祉、医療、教育を応援し、農水産業をはじめとした地場産業育成、地元中小企業育成、生活・福祉密着型公共工事にもっと予算を回すように強く訴えて平成20年度一般会計決算の認定に反対するものです。
 議員各位のご賛同をお願いします。


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