2009年5月18日月曜日

辺野古新基地建設のためのアセスに意見書を提出

「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書に対する意見書」の提出が5月15日に締め切られました。

��000件以上の意見書が提出されたと報道されましたが、私は、次の7項目について意見書を提出し、新基地建設の中止を求めました。


��、事業の目的には憲法上も、国際法上も正当性がない
 準備書は、事業者の見解において、在日米軍再編のロードマップに基づいて辺野古への代替施設建設事業の正当性を述べているが、普天間基地をはじめ沖縄の米軍基地は、戦争中に住民が捕虜となり収容所に囲われているときに、米軍が勝手に金網で囲いこんで基地にしたものや、銃剣とブルドーザーで住民を強制的に追い出して建設したものであり、其のこと自体がハーグ陸戦法規違反である。
 そのように不法に奪い取った米軍基地は速やかに地主・県民返すべきである。
 普天間基地も同様にすぐに返還すべきであり、その普天間基地の代替施設を建設するということ自体が、「強盗に盗まれたものを返して、その代わり別のものを差し上げます」というものであり、国際法上も道義上も通用しないものである。
 このような普天間基地の代替施設の建設事業の目的そのものが不法の上に不法を塗り重ねるものであり許されるものではない。即刻中止し、普天間基地の無条件返還を求めるべきである。


��、事業の目的の不当性について
 準備書は、事業者の見解において、在日米軍再編のロードマップに基づいて辺野古への代替施設建設事業の正当性を述べている。
 しかし、そのロードマップそのものが不当なものである。
 来年は、改定日米安保条約から50年になる。普天間基地をはじめ、沖縄の基地負担の根源は、そもそもサンフランシスコ条約と日米安保条約にある。沖縄を日本から切り離し米軍の全面占領下に置き、今日でも強大な基地を建設し、基地あるがゆえの事件事故、米軍人軍属らによる凶悪な犯罪の恐怖にさらされている。そして、辺野古への新基地の建設で21世紀の末まで押しつけよとしている。
 安保条約は成立の過程から秘密裏にすすめられ、国民の知らないうちに強行されたものであることが、アメリカの解禁秘密文書などから明らかになってきている。
 サンフフランシスコ条約は、吉田茂主席全権ら6人の全権が、1951年9月8日午前、サンフランシスコのオペラハウスでの調印式に全員が参加し、これに署名。
日米安保条約調印式は、その日の午後、プレシディオ基地の米軍司令部に移動させられ、そこの下士官集会所で行われている。しかし、6人の全権団のうち、苫米地義三と徳川宗敬の両氏はこの経過に強い疑問を抱き、安保条約の調印式への出席を断っている。
 安保条約の調印式には、日本側から吉田茂首相と星島二郎、池田勇人、一万田尚登の4人の全権が出席。15分ともいわれるごく短時間の調印式だったようで、アメリカ側はアチソン国務長官ら4人の代表が調印したが、日本側で調印した人間は吉田首相ただ一人だった。日本側で日米安保条約に調印したのは、なぜ吉田首相だけだったのか。
 このいきさつについて、解禁された、アメリカ国務省の極秘内部報告書は、「安保条約の条文は、1951年9月8日のサンフランシスコの調印までは、ごくわずかの日米両政府関係者以外、だれにも知らされていなかった。もちろん、一般の国民はその内容を知るよしもなかった。吉田首相だけが日本代表として調印したのも、残りの日本側全権使節は条約の内容を知っていなかったからだった」「日本政府関係者も国民も、日米安保条約はある意味で、強制が生み出した産物だと考える傾向がある。そう考えるのは、日米安保条約交渉を特徴づけてきた秘密のせいであり、安保条約が占領時代に締結されたという事実のせいでもある」と国務省の報告書は書いている。
 沖縄への基地の押しつけが、アメリカの全面占領のもとでこのように秘密裏にすすめられたものである。
 このような基地押しつけの根源になっている日米安保条約そのものを見直し、対等平等の関係を築くことが求められているときに、また、県民に普天間の基地の代わりと言って新たな基地を押しつけることは許されない。
 辺野古への基地の建設は断念すべきである。


��、事業の目的の不当性について
 準備書は、事業者の見解において、在日米軍再編のロードマップに基づいて辺野古への代替施設建設事業の正当性を述べているが、普天間基地の代わりの基地の建設事業について、これまで沖縄県民は新たな基地の建設に反対し基地の整理縮小について繰り返し明確に意思を表示している。
 一つ目は、1996年の沖縄県が実施した「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票」では、有権者909,832人のうち541,638人が投票(59.53%)で、有効投票数のうちの91.26%、482,538人が「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小」に賛成と投票している。
 二つ目は、沖縄県が1,979年以降、概ね5年ごとに実施している「県民選好度調査」でも、基地について明確に県民の意思を表明している。
 直近の2004年10月1日から10月31日にかけて行われた同調査のうち、基地関係では、「米軍基地について、県や国に特に力を入れてほしいものについて」18項目の中から順位を付けて3つ選んでもらう項目のうち、一番目に上げられた対策をみると、「基地を返還させること」が41.6%と一番高くなっている。
 三つ目は、1997年12月の「名護市民投票」で、新しい基地の建設に名護市民は反対の意思を示している。
 四つ目は、2008年6月の県議選挙で、普天間基地の閉鎖、辺野古への新基地建設反対を公約に掲げた県議が多数となり、「本県議会は、名護市辺野古への新基地建設を早急に断念されるよう強く要請する」との「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書」を7月28日に採択した。
 このように沖縄県民の意思は明確であり、辺野古への新基地建設は民意に背くものであり、その事業そのものが不当であり中止すべきである。


��、方法書提出後の事業内容の重要な修正があり、アセス法28条に基づいて、方法書からやり直すこと
 アセス法28条は、事業内容の修正がある場合は、方法書手続きにもどることになっている。
 今回、新たに事業内容が追加されており、これは重要な修正、変更である。
 1、飛行機の種類にジェット機が追加された。
 2、集落上空の飛行もありうる。
 3、920㍍と430㍍の誘導等が追加されている。
 4、洗機場が3か所追加されている。
 5、強襲揚陸艦などの米軍艦船が入港できる岸壁であることが明らかになった。
 6、県内の12.4年分の膨大な海砂の採取が明らかになった。
 7、オスプレイの配備がその後明らかになった。
 これらは重要な修正であり、アセス法に基づいて、方法書からやり直すべきである。


��、方法書提出後の事業内容の重要な修正があり、アセス法28条に基づいて、方法書からやり直すこと
 琉球新報、2009年5月8日付朝刊では、「米海兵隊の2009年米会計年度航空機配備計画で、次期主力輸送機の垂直離着陸機MV22オスプレイを米軍普天間飛行場に2012年10月から配備する予定であることが分かった」と報道。
 また、「沖縄に頻繁に飛来する米海兵隊岩国基地(山口県)所属のFA18戦闘攻撃の後継機として、次世代のF35B統合打撃戦闘機16機を16年10月以降配備させることも盛り込んだ」と報道している。
 政府は辺野古への基地建設を「普天間飛行場代替施設」と言っている以上、MV22オスプレイの計画されている辺野古の新基地への配備も確実である。
 MV22オスプレイの騒音はどのようになるのか。同輸送機に積載重量満載の場合の騒音はどうなるのか。滑走路を走っての離着陸と、垂直離着陸の場合のそれぞれの騒音はどのようになるのか、明らかにする必要がある。
 F35B統合打撃戦闘機も、普天間基地と同様に辺野古の「代替基地」への飛来が確実になるであろう。新聞報道によると、F35B戦闘機も垂直離着陸機だというが、その際の騒音は、現在のF18戦闘機よりもさらに激しい爆音をまき散らすものとなる。
 これらの米軍機の配備について、新たな重要な修正、変更であり、アセス法28条に基づいて、方法書手続きにもどり県民に説明責任を果たすべきである。
 さらに、MV22オスプレイ、F35B統合打撃戦闘機の配備は、普天間基地の代わりの基地という性格ではなく、新たな最新鋭の基地の建設、強化であり、事業計画そのものを中止すべきである。


��、水環境、海浜環境、地形の変化について
 辺野古への新基地建設では、1700立方メートルの埋め立て土砂について、当初は、沖縄近海から海砂を採取すると説明していたが、今回は、採取場所等を曖昧にしている。
 1700立方メートルという分量は、沖縄で採取されている年間採取量の12.4年分に相当するという。
 これだけの海砂をどこから採取するのか。その採取によって、沖縄本島及び離島の砂浜、海岸等に計り知れない影響が及ぼされると推定される。この影響についても、きちんと環境影響評価を行うのは当然ではないか。
 速やかに、採取場所、採取量、採取方法、運搬方法等を明らかにし、それによる環境影響評価を行うこと。
 したがって、其のことも含めて方法書からやり直すこと。


��、水環境、生態系、漁業への影響について
 沖縄周辺の海域には、県土面積・約2275平方キロメートルの24倍に当たる約5万4941平方キロメートルにも及ぶ29カ所の米軍訓練水域がある。
 辺野古の基地やホワイトビーチなど米軍施設・区域に隣接する沿岸部にも「制限水域」が設定され、漁業などの沖縄振興の障害となっている。
 この辺野古沿岸部の埋め立てによって制限水域がその分、沖合に拡大し、沖縄の漁業に重大な障害となる。
 辺野古の海は、沖縄の魚の産卵場所とも言われているが、埋め立てと、さらに、制限水域の拡大によって沖縄の漁業に打撃を与えることになる新基地建設はやめるべきである。

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