2013年2月15日金曜日

「沖縄・苦難の現代史、代理署名拒否訴訟準備書面より」沖縄県編

 『沖縄 苦難の現代史・代理署名拒否訴訟準備書面より』沖縄県編という文庫本を再度読む機会があった。

 沖縄の戦後史は、米軍の土地取り上げとその土地を取り戻す苦難のたたかいでもある。

 沖縄戦で、米軍は住民を捕虜収容所に囲い込んでいる最中に米軍基地を勝手に建設した。戦後は、住民を「銃剣とブルドーザー」で追い出して基地を建設し、復帰後は、その基地を「駐留軍用地特措法」という理不尽な法律により、賃貸借契約を拒否する住民から強制使用してきた。
 
 1995年、国は使用期限の切れた土地の強制使用の手続きに入ったが、その土地調書、物件調書へ立会・署名押印を地主が拒否、その代理となる当該市町村長も拒否、その代理となる沖縄県知事も拒否したため、知事に「勧告」、「命令」をだし、それでも拒否をする知事を「職務執行命令訴訟」に訴えるという前代未聞の事件が起こった。
裁判の結果は、沖縄県の敗訴という不当な結果だったが、沖縄県側はその中で沖縄の苦難の歴史と強制使用の不当性を明らかにした。その裁判の準備書面を一冊にまとめたのがこの本である。県民が負ってきた苦難の歴史を明らかするための冷静・沈着な叙述とその行間には壮絶な県民の苦しみがにじみ出ている。琉球処分以前から戦前、戦後、米軍占領時代、復帰後の歴史をつづった内容でもある。
 
 辺野古新基地建設、オスプレイの押し付けを県民は許さない、沖縄県民のたたかいを知る上でも貴重な一冊である。




岩波書店

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