2011年10月31日月曜日

県内建設業に打撃を与えるTPP

私は、県議会決算特別委員会で、TPPが県内建設業に重大な打撃になると指摘してきた。

ところが県の認識も甘く、あまりその内容を掌握していなかったし、業界も、率直に言ってあまり危機意識を持っていないように感じられた。

外国の企業が沖縄の公共工事に参入することは考えられないというのがその理由の一つになっていた。

そこに落とし穴がある。

私が、特に指摘したかったのは、海外に開放されるということは、日本国内に開放されるということなのである。

本土大企業や本土企業が沖縄に押し寄せたら県内企業は太刀打ちできなくなるのではないかということを一番に危惧しているのである。

沖縄県や市町村は、これまで地元企業育成のために、「地元企業優先、分離・分割発注」を公共工事発注の根幹にしてきた。そして、沖縄総合事務局発注の公共工事が本土企業が過半数になっているとして、それも地元企業優先をずっと求めてきたのである。

TPPになるとこれが根底から崩されてしまうことを私は決算委員会で指摘して来たのである。

現在のWTO基準では、23億円以上が国際競争入札になっているが、これに該当する公共工事は過去に4件あり、4件とも本土企業と県内企業のJVが落札している。

TPPになると、その基準が、7億6千万円に引き下げられる可能性が高い。

7億6千万円を超えないように、分離分割すればいいと思うかもしれないが、現在のWTOの「政府調達協定」の第2条では、「協定の適用回避のために、評価方法の選択又は契約の分割を行ってはならない」と明確に規定されている。

これが、TPPになればさらに強化される恐れがある。県や市町村が県内企業育成のために、7億6千万円を超えないように分割することができなくなってしまし、最低制限価格のない競争にさらされるのである。

現在の米軍の発注する一括発注方式になると思えばいいのではないだろうか。

そうなったときに、海外だけでなく、さらに、海外から入ってこない場合でも、国内の企業が参入してくる。これで、沖縄の建設業は、あまり影響はないと言えるのであろうか。

もっと問題なのが、公共工事以外の県や市町村のコンサルタント発注、清掃などの委託業務契約、物品購入などのサービス関係の発注も、TPPでは750円以上になるということだ。

これも公共工事と同様に、海外の企業が参入しなくても、国内の企業が参入してくる。

沖縄県の土木建築部のい部署の発注だけでも、H22年度で、325件119億円余の750万円以上の契約があるのである。これが、沖縄県全体となると、5倍、あるいは10倍になるのであろうか。財政依存度の高い沖縄にとって、これらの仕事が本土企業に奪われていくとなったらどうなるのであろうか。

また、TPPには、「毒素条項」といって、米国の企業が、自分達の利益にとって障害になるような日本の制度がある場合は、日本政府に賠償を求め、その制度の変更を求める訴えることもできる条項も書き込まれる可能性が高いという。

米国の企業ももうけに反する制度はことごとく替えられていくことになる。

TPPは、農業だけの問題ではない、沖縄の建設産業、沖縄の経済にとって大変な問題である。

ところで、今朝の琉球新報の社説が、「自治体が公共工事で地元企業を優先するルールも廃止に追い込める。分離分割発注は風前のともしびだ」と書いて、国民不在の拙速な判断だと、TPP参加に警鐘を鳴らしている。

TPPは、農業だけではない、沖縄の建設業、すべての産業の問題である。

早くTPP参加反対の声を広げよう。

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