2014年5月18日日曜日

去年の「ルーズベルト・ゲーム」の感想を再掲載

2013年9月8日のブログに池井戸潤の「ルーズベルト・ゲーム」について感想を書いた。

偶然にも、テレビで放映されているのを見た。
本と映像はまた違った面白みがある。
以下に、去年の9月8日のブログの記事を再掲載するので参考にしてください。

池井戸潤の「ルーズベルト・ゲーム」
今年1月31日のブログでは、池井戸潤の「下町ロケット」、2月13日のブログでは「空飛ぶタイヤ」という本は面白いと紹介した。

池井戸潤といえば、いま「俺達花のバブル入行組」をドラマ化したテレビが大ヒットしている。

池井戸潤の小説が面白いのは、今の効率だけが優先され、人間よりもコストが優先される世知辛い社会に対して、いきている人間と家族と人情をもっと大事にせよというメッセージが単刀直入で発信されていることではないだろうか。

今日読んだ「ルーズベルト・ゲーム」もこれまでの作品と同じように人間を大事にすることをズバッと説いている。

ここに登場する青島製作所は、これまでの物語と同様に苦境に陥り、リストラを迫られ苦境に陥っていく。そしていろんな人間ドラマが展開されて、最後には苦境に打ち勝っていくというストーリである。

その中で池井戸潤は、会社の会長に、リストラを追求する後継社長に対して、「しかし、会社だけ利益をあげればそれでいいのかな」と問いかけ、続けて「この工場が作っているのは、カネ儲けの製品だけじゃない。働く者たちの人生であり、夢もだ。いまこの会社の社員として働くことに、夢があるだろうか。彼らに夢や幸せを与えてやるのもまた経営者の仕事だと思うんだが」と語らせている。

この会長の語りの中に作者の思いが凝縮されているように思う。この会長の言葉こそ池井戸潤作品を貫き通している信念ではないだろうか。

効率だけが優先され、人間が部品扱いされている社会を働く人達が実感として持っているからこそ、以前まで当たり前だったと思うこのような信念に共感するのではないだろうか。

この作品では、この会社の野球部が中心舞台となってい設定されていて、野球の試合の展開もまた面白い。

池井戸潤の目指す社会、人間が大事にされ、正規雇用が当たり前の社会を早く実現したいものである。


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